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「お前、まさか連絡したんじゃないだろうな?」
強盗は扉に向かう足を止め、踵を返して家主に近づいた。
「し、していない!
本当だ!信じてくれ」
家主は妻と息子をまたかばいながら後ずさった。
その間もベルは鳴りっぱなしである。
「畜生!
やはりな。どうせこうなることは分かっていたんだ!」
嘆くように言いながら強盗は一度しまったナイフを取り出した。
「よ、よせ、やめろ!
うぐっ!!」
強盗はナイフを振り下ろした。
「あなた!」
先ほどまで恐怖で声を出すことができなかった妻が叫んだ。
同じように息子も大きな声で泣き叫び始めた。
息子は8歳であったが、赤ん坊の様に泣き叫んだ。
10秒ほどの話であったが。
10秒を過ぎると何も声を発さない状態になっていた。
カラーン
強盗は手からナイフを落とした。
「はあはあ。
クッ、3人とも騒ぎやがった」
半笑いで強盗はそう言うとカバンとナイフを拾い、真っ赤な壁紙のリビングを出て、「赤川」と書かれた表札の家を出て行った。
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