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国と呼ぶには小さくて。
しかし王をたてている時点で国とも呼べて。
曖昧で、深い森に囲まれている故に、他国との関わりも積極的に行われてこなかったが、それでも王は街に何かが降りかかってきた時の事を考えては動いていたようで。
隣国が手を貸してくれるのはありがたいことだが、すんなりああそうなのかと、納得できない点があった。
「見返り無しで承諾してくれたとは思えません。王は何を差し出したのですか?」
そう。無条件でこちら側の言い分を呑み込むお人好しな国などどこにもない。
何かを求めれば何かを与えなければならないのが当たり前で、アーモンは眉を寄せながらユゼに問うた。
「資源だよ。ここには木材と鉱物が豊富だからね。それに関しての貿易を許すことで条件を呑んでもらったんだ」
確かに森に囲まれてるが為に資源は豊富で、その資源を求める国があったのも事実。
しかし先祖代々己の街だけで生業をし生きてきただけに、他の国との結び付きを許すなど滅多になくて。
現王が求めた結び付きは異例だった。
「しっかしその国は信用できんのかよ? 国同士の結び付きにも裏切りはつきもんだろうが?」
「それをどうこうするのは託された僕の仕事だよ。僕はどうにかできる自信はあるけど、でもそれは」
言葉を区切っては、三人を順に見た
ユゼ。
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