Scene.1

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「おかあさーん!見て!川にね、お魚がいるよー!かわいーね!」 「あら、本当ね。摩耶ちゃん、あっちにもお魚たくさんいるよ。」 「わー!本当だあ!たくにぃ~!ゆりー!!きてよー!」 あれは確か―――… 私が小学5年生の夏。 どこかの山にキャンプを しにきた私達。 “たくにぃ”は私の兄で 名前は、拓也。 “ゆり”は私の妹。由梨…。 「俺が魚捕ってみるよ!摩耶、由梨、見てろよ?」 私達は目を輝かせた。 たくさんの魚に透き通った水 綺麗だったのを覚えてる。 あのとき、お兄ちゃんは 確か中学1年生。 妹が私の2つ下で小学3年生。 「おにいちゃん!ゆりもとりたい!おさかな!」 「ゆりは危ないからだーめ!父さん!ゆり見ててよ!」 「あぁ。じゃあ母さん、ご飯炊いておいてくれるか?」 「わかったわ。摩耶も目を離さないでね?」 私達家族は普通の家族と同じように円満だったし、もっと言うと家族揃っての行事はかなり多い方だったと思う。 キャンプ、プール、海、山 なんでも行った。 このときは確かに幸せだったんだ。 このときまでは――… .
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