僕はただの一生徒だったのに

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「……はっ!」 どうやら僕は眠ってしまっていたようだ。 無理もない、昨晩の依頼から寝て無かったんだから。 昨晩の出来事は夢だったんじゃないかな、と思えてきた。 それにしては、何か狭いし暗いな……。 「てい♪」 「ごげふぇがふぅ!!」 僕の体を衝撃が突き抜ける。 すると、光が入ってきた。 「着きましたよ、オルタ君」 「ふぇ?何処にッスか?」 「ボケないでください。私は君を元に戻す手掛かりを探す為に、学園に行くと行った筈ですよ?」 その言葉で、僕は眠る前の出来事が嘘ではないことを悟った。 「ちなみにここは何処ッスか?図書館?」 「いいえ」 にっこり。 僕は背中を冷や汗が伝うのを感じた。 「私の教室です♪」 次の瞬間、バッグが逆さまになり、僕は先輩の机の上に放りだされた。 「なにそれ、赤いスライム?」 見回せば、先輩の机の周りにはクラスメイトとおぼしき人達が集まっていた。 まだ朝早いせいか、そのなかに寝坊助な姉貴の姿が無いことに安堵しつつ、僕は見慣れない人達に緊張していた。
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