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「ユヤ!ちょっとこれ持ってー」
だが、返事は無い。
どうやら寝ているみたい。
「むー……。コロ!ガブガブー!」
「わん!」
レミア先輩がそういうと、小さくて真っ黒な狼が先輩の服の中から出てきた。
その狼は、普通とは違って頭が2つ。
その狼は、2つの顎でユヤとかいう人の腕に噛みついた。
「っぎゃぁぁぁ!」
かなり痛かったらしく、ユヤ先輩は飛び起きた。
その胸元には豊かな膨らみが。
「女の子だったんッスか……」
髪型からして、男の子だと思っていた。
制服も男物だし。
「レミアぁ!痛かったじゃんかよぉ!」
「だって、ユヤが起きないのが悪いんだよー」
「だからってコロは無いだろコロはぁ!」
「普通に起こしても起きないじゃんー。ねぇコロ?」
「わん!」
二人の先輩がギャアギャア喧嘩してるうちに僕は逃げることにした。
流石に引っ張られるのはちょっと、ね。
こっそりと、教室の床を這い、僕は漸く教室のドアにたどり着いた。
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