僕はただの一生徒だったのに

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さかのぼること一時間前。 「先輩っ!ここには何匹いるッスか?」 「索敵魔術によると、10匹です。イケますか?」 「余裕ッス」 「じゃあ、何時もの通り、頼みますよ」 町外れの広場に、僕と先輩はいた。 学園に持ち寄られた依頼のうちの1つがカンナギ先輩に回ってきて、何時ものように僕も着いていくことになった。 前に姉貴を誘えば良いのにって言ったら、 「マルカさんには、1人の方が良いと断られてしまいました」 と返ってきた。 要するに、僕は姉貴の代わりな訳で。 ちょっと悔しいけど、学園最強クラスの魔術師な先輩と一緒に行けるのは、密かな楽しみでもあった。 何時も通り、先輩に近寄らないように、僕はモンスター達を牽制する。 僕の背後では、膨大な魔力がうねっているのが判る。 何時もなら、暫く立てば先輩の魔術が発動して一掃しちゃうんだけど、今日は勝手が違った。 「オルタ君!逃げてください!」 普段の落ち着いた先輩とは思えない、焦った声。 何だろうと、振り返ったのがいけなかった。 術式を組み違えて、暴走した魔術が、僕とモンスター達を貫いた。
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