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すると、10分もたたずに誠が走ってやってきた。思わず立ち上がった葵を見つけると、笑顔を浮かべた。額にはびっしりと汗をかいていた。
「よかったね」
葵は、バックからハンカチを取り出して渡す。初対面の時のように――
「あはは、ありがとう」
「――後藤透子さんがアパートまできてくれたんです。これからだけど、頑張りたい」
「うん」
輝いた表情の葵を、誠は優しくまっすぐに見つめた。
「ーー葛原葵さん」
「はい……」
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