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その町は北海道にあるのだがほとんどの道民はそんな町の名前や場所すら知らない人が多いそんな町に何も知らない旅人がやってきた。
「ここはいったいどこなんだ、急に霧におおわれと思ったらいつの間にかこんな所に…」
旅人はきょろきょろと辺りをみわたすと看板が見えた。
「直売店かあそこで聞いてみるか」
直売店に行くとまるで生きている人と錯覚するような大きな人形が座っていた。
「人間…いや人形か」
旅人はそっと人形の顔に触れて居ると急に店の中から声が聞こえて思わず旅人は手を離した。
「よくできた人形だべ」
店の中から人が出て来て言った。
「あっ、すいません」
「よかよ、久しぶりに新しい人が来るとこの子は喜ぶからね」
店の人は少し目を細目ながら人形を見つめながら言った。
「人形がですか」
「んだ、この町の人形はみんな生きてるいるからな」
「どういう事ですか」
「満月の夜になれば解るさ、それよりもこのらいでんスイカ食うか」
店に並べてあった西瓜を持ちながら旅人に聞いた。
「えっ、ここって雷電なんですか」
旅人は驚きながら店の人に聞いた。
「はは、面白い事を聞く人だね」
「えっ」
旅人は首をかしげた。
「ここは共和町ほとんどの人に忘れてた町さ」
「そんな…じゃあ俺はどうして」
「きっと碧様が呼んだんじゃないか」
「あお様って」
「この町の主様だよ」
「主…その人とすぐに会えますか」
「そのうち会えるさ」
店の人はうつむきながら言った。
「そうですか…」
旅人はそれ以上聞く事ができなかったなぜならばそうゆう雰囲気だったからだ。
「ところであんたどこさ泊まるん」
「どこかのホテルにでも泊まるつもりです」
「この町にはホテルは無いよ、あるとしても隣町にあるんだ」
「じゃあ、隣町に行けば…」
「いや隣町にでられないようになっているんだ」
旅人が言い終わる前に店の人が言った。
「えっ、どうして…」
「…」
「この町だけ閉じこめられているからだよ」
店の人が言いづらそうにしていると後から声が聞こえて来た。
「あの君は…」
「ああ、俺は青山慧あそこにある中学校の生徒だ」
青山慧と名乗った男は水色のジャージを着ていた。
「どうして出られないのか教えてくれないか」
「行って見れば解るよ、俺そろそろ学校に行かなきゃいけなねーからじゃあなよそ者さん」
後ろ姿で手を振りながら走り去って行った。
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