第一章

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「あっちは」 「あっちは来客用と先生用なの」 沙羅は竜の質問さらりと答えた後先に校舎の中に入った。 「旅人さんも早く入りなよとがめる人なんて居ないからさ」 「うん…」 「そうか…」 竜は少し戸惑いながら校舎の中に入った。 「はい、これ履いて」 沙羅はスリッパを出して竜に言った。 「沙羅姉いったいどこから出してきたの」 「さっき、先生用の玄関にある棚にスリッパ大量にあるからそこから持って来たの」 「そっかそういえばいっぱいあそこにあったね」 「うん、旅人さん遠慮なくスリッパ履いて」 「ありがとう」 竜はいろんな所をキョロキョロしながら言った。 「珍しい」 「ああ、二重ドアとか」 「こっちでは当たり前だよ」 「普通の家もそうだし」 「普通の家も」 「うん、寒さが入ってこないようにするためにそうなってるね、コンビニとかもそうしてる所はしてるよ」 「へぇ~」 竜は驚きながら言った。 「こっちは風も強いし雪もひどいからね…」 雪と沙羅は自分の上履きを下駄箱から出して履いた。 「あっ、ウチ先に職員室行って来る旅人さんも来る」 雪は首を傾げて竜にむかって聞いた。 「一応許可もらいたいし行って見るかな…」 竜も出されたスリッパを履きながら言った。 「…真面目なんだね…」 雪は竜に聞こえ無いように言った。 「何か言ったか」 「ううん、何でもない」 雪はあわてたように首を降りながら否定した。 「ほら早くしないと授業始まるよ」 「あっ、はやぐ行こう旅人さん」 「ほら雪またなまり出てるよそんなんじゃまた遠矢先生に怒られるよ」 「あっ、いっけない…」 「今のはやぐって」 「ああ、早くって意味なの雪の場合はちょっとなまってる所があってね…」 「へぇ…ここの人はぜんぜんなまってないよな…」 「若い子はなまんないの…」 「じゃあ…」 竜は雪を見つめて言葉をつまらせる。 「あっ、雪って呼んで…私はおばあちゃんと一緒にいた時間が長くってこんななまりになったの…」 雪は笑顔で竜に言った。 「へぇ、そうなんだ」 「うん、お母さんもなまってるから家では当たり前なんだけども遠矢先生はそのなまりを治せって言われててね」 「さっきから言ってる遠矢先生って」 「私達の担任の先生の事だよ」 「優しい女の先生なんだよ」 「へぇ…」 「雪は保健室の先生が一番好きらしいけどね」 「あたりまえだよ、花園先生は優しくってほわほわの気分にさせてくれるんだよ良いじゃん」
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