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雪は急にさっきまでの口調をいきなり変えて熱弁を始めた。
「雪…先生の所行かないとまた休みにされるよ…」
沙羅は少し強い口調で言った。
「あっ…」
雪は我に帰って少しはっとして黙り始めた。
「よし、なら行っておいで」
「うん、行こう旅人さん」
「あっ、ああ…」
竜は少し戸惑いながらも頷いて雪について行った。
「ここだよ」
雪は玄関からすぐに左の方に曲がってすぐに入って行ってクリーム色のドアの前で言った。
「へぇ~、玄関からずいぶん近いんだな」
「そうかなこれが普通だから解んないや…」
雪はきょとんとした目で竜を見つめた。
「そうか…他の所で見た事無いのか」
「うん、ウチ昔はよく風邪ひきやすくって…隣町に居るお婆ちゃん家しか行って無かったから」
「そうは見えないけど…それに、隣町に行けていたのか」
「うん、今はけっこう丈夫になったからね、今は行けないけどね…」
雪は少し自慢気に言った後少し寂しそうに言った。
「そうなのか…じゃあどうして今は行けないんだ」
「葵を護るため…ごめんね、旅人さん人形のウチ達はこれ以上喋れる事ができないの…」
「そうか…」
竜は少し不思議に思いつつもこれ以上は聞けなかった。
「うん、じゃあ行こう」
「ああ」
「失礼しまーす」
雪はクリーム色で小さな窓付きのドアをノックしながら言った。
「おお、雪やっと来たか」
職員室に入って来た雪に始めに話しかけて来たのは体格がよく日焼けした肌をした中年の男だった。
「あっ、畠山先生久しぶりです」
「もう大丈夫なのか」
「はい」
「そうか…」
畠山先生と呼ばれた男は雪の頭を撫でながら言った。
「あっ、旅人さん連れてきました後お願いします」
「そうか、とうとう来たんだな…」
「はい」
「いや、何でもない」
竜は不思議そうに畠山先生と呼ばれた男を見つめた。
一方雪は自分の用事をすましていた。
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