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「王様ゲームやんない?」
仕切り屋のまっちゃんが突然言い出した。
「こんな時間からかよ、今日の朝には帰るんだぜ」
四人の中で一番ビビり屋の小吉が慌てながら、反対した。
タイミングがいいのか悪いのか、まっちゃんの足元に置いてある、黒い目覚まし時計が、丑三つ時を回りかけていた。
「なにビビってんの? ただのゲームじゃんかよ、肝試しじゃねぇーのっ!」
まっちゃんが呆れた表情で小吉に言う。
四人用のテントの中は、簡易電灯がぼんやりとオレンジ色に染まっていた。
テントの真ん中に吊るされているその電灯の灯りに、俺達四人の影が伸びたり縮んだりと、その影が動く度に、ドキッとしていた。
正直、小吉がビビるのも解らなくはなかった。
「こんな時間というよりはさぁ、王様ゲーム自体がそもそも、明らかに幼稚すぎるよ」
頭の悪いガリやんが、黒縁の眼鏡の真ん中を人差し指で持ち上げた。
分厚いレンズ越しに見えるガリやんの目は、明らかに王様ゲームを拒否していた。
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