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「霊がさぁ……、寄って来るって……婆ちゃんが言ってた」
「あはは! 未だにそんな事信じてるの? 乙女だねぇーあはは!」
まっちゃんが小吉に向かって高笑いをすると、俺も釣られて笑った。
その大きな笑い声に小吉は、またテントの中をキョロキョロ見渡して、如何にも霊とやらが居ないか確かめている様子だった。
「ほらっ! 後ろ!」
突然ガリやんが、大きな声を出しながら、小吉の後ろを指差した。
小吉は慌てて、前屈みになると、頭の後ろを両手で抑えた。
突発的なガリやんの行動に、俺とまっちゃんもビックリして、ガリやんが指差す方を咄嗟に見た。
ガリやんが指差す方は何も無かった。
まっちゃんと目が合った俺は、ほぼ同時にガリやんを睨んだ。
そのガリやんは、小吉を見ながらゲラゲラ笑っていた。
「てめぇ! 脅かしてんじゃねぇーよ!」
突然の事にビビってしまった俺は、ガリやんの頭を思いっきり叩いた。
「いてぇーなぁ、冗談じゃねぇかよ、叩くことはないだろ! ったく……」
「うるせぇ……」
ビビってしまった恥ずかしさの余り、ガリやんの頭を咄嗟に叩いた挙げ句「うるせぇ」としか言えなかった。
「悪ふざけは良くないよ……ホントに来るって」
小吉は完全に怯えていた。
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