18人が本棚に入れています
本棚に追加
/11ページ
.
「よっしゃあー! 王様ゲット!」
三回目の王様を引いたガリやんの黒縁眼鏡の分厚いレンズ越しに見える小さい目が、ヤケに憎たらしい目に見えてしまった。
「さっさと、命令しろよ!」
まだ、一度も王様を引いていないまっちゃんは、ガリやんが王様を引いた事に、あからさまにイライラしていた。
「おいおい、命令するのは王様だぞ。 大人しくしてろよな、クククっ……」
「ちっ!」
王様をいいことに、ガリやんは、まっちゃんの苛立ちを、笑いながら煽った。
「いくよ……、Bが……、クククっ……、鼻毛を五本抜け!」
笑った。
四人で大笑いした。
時間も時間だったからだと思う。
しかもBは、まっちゃんだった。
「楽勝じゃん!」
まっちゃんはそう言いながら、鼻毛を抜き始めた。
抜くのをしくじる度に「イテっ」と、鼻の頭を赤くしているまっちゃんを見て、俺達三人はゲラゲラ笑い転げていた。
まっちゃんの足元に置いてある目覚まし時計に目をやると、針が六時を丁度差していた。
「これでラストにしない?」
俺が目覚まし時計を見ながらそう言うと、皆頷いた。
「よしっ! 神よラスイチの幸運を我に!」
まだ一度も王様を引いていないまっちゃんが、上を見ながら両手を胸の前で合わせた。
最後の割り箸をガリやんの手から、それぞれがゆっくり引き抜く。
「せぇーのっ!」
掛け声に合わせて、割り箸のマーキングを確かめる。
「よっしゃー! 神降臨!」
王様を引いたのは、まっちゃんだった。
.
最初のコメントを投稿しよう!