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「……横綱ババァのパンツを盗んで、一日そのパンツを履くことだ! どうだよ、おもしれぇだろ?」
笑えなかった。
三丁目の横綱ババァは、有名なデブだった。
「履けるか! ブカブカだぞ!」
俺の言葉に皆、笑い転げた。
「ルールさえ守ればいいんだよ。それじゃぁ、検討を祈る」
全く面倒臭い命令を出しやがってと、俺とガリやんに小吉は、テントから出た。
外は明るかった。
小吉は明るい空を見渡しながら、明るさにホッとしている様子だった。
とにかく、俺は南の方角へ歩いた。
拾った棒きれで草薮を掻き分けながら、食料をキョロキョロと探した。
明るいとはいえ、静かすぎる草薮はヤケに怖かった。
何度も後ろを振り返ってしまう。
お盆だという事を思い出してしまい、また見えない恐怖感が増していった。
そして、二十分程あるいた所で、俺は野イチゴを見つけた。
胸が高鳴った。
その野イチゴを一つだけ摘み穫ると、来た草薮を一目散に駆け戻った。
草薮を掻き分けるのに使っていた棒きれを空高く放り投げて、とにかく、走った。
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