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テントに戻ると、まっちゃんが腕組みしながら、待ち構えていた。
「さすがマサル、一番乗りだよ」
一番乗りに悪い気はしなかった。
「で、食料は? あっ、その前に、今から笑ったらアウトだぞ」
まっちゃんがルールの念を押した。
俺は握り締めていた野イチゴをまっちゃんに手渡した。
「うん、確かに食える」
俺は安堵感からか、ガッツポーズを無言できめた。
「この野イチゴを自分の尻に入れてね」
「はぁ? お前いかれたの?」
「王様の命令は?」
「……絶対」
「だよな、見ないから、早く入れな、おっと、笑うなよ」
「笑えるか!」
ーー この野郎、王様を良いことに、やり過ぎだろ! ーー
テントの中で、俺は野イチゴを尻に入れた。
誰にも見せられない、屈辱的な光景が、テントの中は一人とはいえ、恥ずかしかった。
野イチゴをゆっくり入れながら、俺はふと、重大なミスに気がついた。
まっちゃんは、小吉とガリやんにも同じ命令をする。
奴らが持って帰ってくる物によっては、俺……笑ってしまう!
奴らより後に戻るべきだった。
しかも、二人分……。
俺は、今にも笑いそうになるのん、必死に堪えた。
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