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遠くに避難していたフランスパンに近づき、その米神目掛けて右手を振りぬく。
「ッ!?」
だが、反応される。頭を下げ回避された。
しかし、そのお陰で奴の頭はがら空き。この状態からガードなんて出来ないだろう。
左手で奴の後頭部をがっちりと掴み逃げられないようにして右膝を鼻っぱしに向ける。飛び膝蹴り。外すとこけて自分がダメージを負う技である。あっ、それポケモンだけか。
抉るように、砕くように、刈り取るように、強く強く。鋭く鋭く。
グシャ、と嫌な音と嫌な感触が俺に伝わった。だけど、鼻じゃなかった。
ふさっと何かが落ちた音がする。良く見ると金色のフランスパンが地面に落ちていた。
「あらら両手逝っちゃったじゃないか。おいおい、こんなのを食らわそうとするなんて僕の幼馴染を殺す気かい? それはやりすぎだと思うけどねジョン」
ジャイアントベイビーが両の手をぶらぶらと振りながら笑顔で俺にそういった。
ジャイアントベイビーが俺とフランスパンの僅かにあった隙間に両手を入れて、フランスパンの鼻をガードしていたのだ。その結果で俺の右膝は弾かれ、フランスパンの鼻ではなくフランスパン自体を刈り取ってしまったのだろう。
推測だけど。
「フフーフ。ちょっと君に怒りが芽生えてきたよ。久々の殺意だね」
俺はとっくに限界突破してるけどな。
「龍華……」
「総ちゃんは休んでていいよ。それともまだジョンが僕と戦うのに相応しくないとか言っちゃうのかい? まぁそう言っても言わなくても僕、怒ってるから関係無しに彼を壊すんだけどさ」
「……言わんわ。けど、その代わり、ワイと咲夜。……それと、キングギドラ全員の仇討ってな」
「まっかせなさい」
終わった? 空気読んで黙ってたけど終わった?
普段なら間違いなく攻撃してるけど。イイハナシカナー、って感じだったから静かに聴いてたけどもう攻撃して良いよね。
「待たせちゃったね。けど、僕も待ちくたびれていたんだ。お相子だろ?」
「知らんわ。さっさと終わりにしてメロンパンの請求してやる」
「ちなみに何円?」
「105円」
「安ッ!? え、なに? たったそんだけの額のためにワイ鼻砕かれそうになったの!?」
「よし、行くぞ」
「無視かいな!」
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