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まぁ、ここまでして頼むのだったら仕方なく引き受け………ない!!
引き受けないのかよ、ヒーハー!!
一本取られたよ、ヒーハー!!
……と、さっきまでの俺ならこう言って拒否っただろう。
だが、俺は見てみたくなった。
「コートに立っているだけだからな」
「…えっ?そ、それって…」
勢いよく顔を上げ、驚きと嬉しさが入り交じった気持ち悪い表情で俺を見つめる。
「二度は言わない」
「あ、ありがとう月島ぁぁ!!」
両手を広げ、抱きついて来そうだった佐内(?)君を避け、俺は丁度審判が整列の号令をかけたコート中央に向かうのだった。
俺が井上(?)君達の頼みを引き受けたのにはちゃんとした理由がある。
そう、俺は見たくなったからだ。
脇役達が主人公達の圧倒的なスペックによってやられる姿を…。
どう頑張っても最終的には脇役が主人公に勝てないといった王道の場面を…。
脇役はいつになっても主人公の噛ませ犬なのだと証明される状況を……。
ただ単に見たくなっただけである。
整列をしている時、俺は心の中で笑い、この云わば自然の摂理的な場面に期待を膨らましていた。
そして、審判の笛と共に試合が開催されたのだった。
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