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予想外の展開に観客のボルテージが半端なく上がりまくった。
所々で「調子のんな無機質野郎!」とか「私の颯人様に勝つんじゃないわよ!」とか暴言が聞こえてくるが気にしない。
後20秒経てば俺達の勝ち。
つまりはメロンパン一年分。
俺は気合いを入れ、額からの半端ない汗の量を拭き取り、相手チームの攻撃に備えていたが俺を避けるようなパスワークで再度逆転された。
再び大歓声。
36―37
残り時間、後10秒。
……まぁ、あれだな、うん。こういう時にあの台詞があるんだな。
計画通り。
残り10秒たっぷり使って得点を取る。
この状況はまさに俺が後半の頭から想像していたもの。
くくくっ、まさに計画通り。
俺は上田(?)君にパスをもらう。
残り時間後、8秒。
ドリブルで桃髪と茶髪を交わし、青髪をスピンで避ける。
残り時間後6秒。
そして、赤髪と春風が俺の前に出現し、俺はスピードを緩めるをえない状況に……。
だが、緩めたのは一瞬だけ。すぐトップスピードを出す、俗にいうチェンジオブペースというテクニックで二人を抜く。
残り時間後、4秒。
もう、誰も俺を止める者はいない。後はただゴールを狙うだけ。
俺は地味で確実な庶民シュートを決めようとシュート体勢に入り跳んだのだがある異変に気づいた。
……跳ぶ軌道が低い。
やばい、最後の最後でまさかの電池切れ。
流石の俺も三分間の全力プレーは持たなかったみたいだ。
このままだとシュートが入らない。
と、いうことは……負け?
負けということは……メロンパン一年分は無し?
うっわ、嫌だ。
ここまで目立ったプレーをしたというのにメロンパン一年分が無しは絶対に嫌だ。
なんとかしなければ……。
そう思った矢先、俺は視界の端にいたある者を捉えた。
そして、無理に体を捻ってある者……、木内(?)君にパスをした。
「(高橋(?)美味しいとこはお前にやる。決めろ)」
「(月島…お前ってやつは……。マジで感謝するぜ!あと矢部な)」
アイコンタクトで会話を交わした後、平野(?)君は綺麗なフォームでシュートを放つ。
残り時間後、1秒。
ボールは綺麗な軌道でゴールに向かい、そして、そして………リングに当たり外れたのだった。
残り時間、0秒。
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