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顎に手を当てて、何かを考え始めた紫リーゼントは、うんうん、と呻りながらも、思考を纏めたらしく、顔を上げて、気持ち悪い笑顔を俺に向けてきた。
「ワイの関西人特有の勘がお前さんはこの男のことを知っているってつげてんねん」
いや知らんし。確かにそのインパクトのある笑いを生むヘアースタイルは賞賛に値するが関西人ばかにすんなよこの似非関西弁野郎。
イントネーションからして違うんだよ。もっと関西弁っていうのはだな、こう、そうだな、うん。あれだよ、うん。そう。わかったか、なんちゃって関西人。
「というわけで堪忍してな」
何を? と思ったときにはもう遅かった。
紫リーゼントの言葉とともにカラフルヘアー集団が俺を囲み、逃げ場を完全になくされた。
「さーて、いろいろゲロッてもらうで」
ボキッボキッと両の拳を鳴らしている紫リーゼント。周りのカラフル軍団はニヤニヤと下種な笑いを見せている。
あー、これはあれかー。俺をボコッボコにして知っていることを吐かせる、集団リンチ紛いのやつかー。なるほどなるほどーーー
「甘ぇよ」
「は?」
俺の言葉で唖然とする周囲。
まぁそうだろうな。先ほどまで(必死に笑いに耐えるため)震えていたんだ。急に強気発言にはおったまげる。
瞬時に我に返るのは紫リーゼントだった。
「何が甘いちゅーねん。誰がどう見ても砂糖を吐く展開じゃないやろ」
「ああ、吐くとしたら砂糖じゃなくて血反吐だよな」
違ぇ違ぇ。展開の話じゃねぇんだよ。と首を横に振る。
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