9686人が本棚に入れています
本棚に追加
/237ページ
「甘ぇのは展開じゃねぇ。お前らの行動だ」
「行動?」
「ああ、囲んで集団リンチ。そして情報を吐かせる。んー、知りたいことを吐かせたいなら妥当な行動だろう。だが、普通だな。普通すぎて欠伸が出るぜ」
退屈そうにそう言って周りを伺う。反応は上々。何言ってんだ、こいつ? とでも言いたそうな目線を俺に向けていた。
そこから両腕を広げ、圧倒的威圧感を醸し出している感じビンビンに見せるように努力をして。
「俺ならまず、有無を言わさずに両足の関節を全てはずして逃げられないようにする」
俺の言葉に青ざめる周囲。いいね、いい感じだね。
俺はニヒルな笑顔も忘れずに言葉を続ける。
「そこから人目の付かない場所に移動してから拷問を開始する。最初は軽く、ゆっくりと爪でも剥ごうか」
それをすることに何の躊躇もないぜ☆的な感じでいうのがコツである。
現に目の前のカラフル軍団は、こいつ頭おかしいんじゃないの? 的な表情で見ている。
「それで吐かなかったら骨、それでも無理なら歯。最終手段で指を落とすのもいいかも知れないな」
さて、そろそろか。
「それに、まず、第一に間違っていることがある」
「……何やそれ」
「話を吐かせるにはまずそいつを潰すことが前提だろ。つまりさ」
ーーーーお前らに俺が潰せるか?
辺りが静まり返る。よくわからない恐怖にやられて震え上がるものも続出していく。
ただこの場で口を開けるのはまたもや紫リーゼントだけだったわけで、どこ吹く風のように余裕な表情をしながら俺に向けて言葉を発する。
「それってつまり、お前さんはワイらをどうにかできるほど喧嘩が強いっちゅうことですかいな?」
「いやいや。俺はそんじょそこらの普通の高校生と変わらない強さだ」
ならどうやって? 俺にそう問いを投げかけたその時、集団の後方から打撃音と悲鳴染みた叫び声が聞こえてきた。
そして、その全ての元凶は必死の形相で、だけど持ち前の爽やかを崩すことなく、俺と紫リーゼントがいる中心へと現れるのだった。
やっときやがったか馬鹿たれめ。
俺はそいつを指差して先ほどの問いに答えるために口を開いた。
「どうにかするのは俺じゃなくてこいつだよ」
そう。イケメン超人こと春風颯人が、な。
最初のコメントを投稿しよう!