治療という名の初体験

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部屋に入りドアが閉まったと同時に捕まれていた手が離された。 「怖がらせちゃってごめん!」 「…え?」 「ああでも言わないと真結子ちゃんのこと寝かせてあげられないなって思って。」 強引かと思えば急に謝るとか何なの…。 「ううん、あたしが騒いだから。」 あたしはあえて謝らなかった。 「よかった。」 そしてまた人懐っこい笑顔。 こいつ本当にチャラいなー。 「じゃあさ、さっそく治療したいと思うから、お風呂入って来て?」 「……え!?」 「そのまま寝ちゃうならお風呂入った方がいいでしょ?」 「軽く寝たら帰るから大丈夫だよ。」 「いや、俺の予想だとぐっすり寝ちゃうと思うよ。」 こいつ…睡眠障害のこと軽く考えてるよ。 薬も飲まずにそんなすぐぐっすり寝れるなら苦労しないって! 「入浴剤もあるからリラックスしておいで。」 「…分かった。」 “リラックス”の言葉に背中を押されて、あたしはお風呂に入ることにした。
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