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「……であれがどうしたんですか?」
グローブを装着した達磨さんを尻目に支部長さんへ問う。
ちゃんと見ろよッ!驚けよッ!無視すんなよッ!と達磨さんは言っているが多分無視していいだろう。
何となく見た水島さんの顔に無視して大丈夫よ、そう書いてる気がするから。
「人波君にも滅武器を使えるようになってもらうから、あれをモデルにしてもらおうと思ってね」
クルリと回り後ろを見た。
……別段変わっている所はない。ただのグローブみたいだ。
「そういえば、水島さんが――」
「桜でいいわよ――」
「へっ?」
「お母さんもいる紛らわしいし、名前でいいわよ」
確かに紛らわしい。さっき水島さんと呼んだ時、支部長さんも反応していた。
ちなみに今支部長さんは、水島さん――桜さんを見てニヤニヤしている。
さらにちなみに達磨さんも、ニヤニヤして見ている。
「……何よ」
「別に何もないわよぉ、ねぇ重さん」
「あァ、何にもねェぜ桜」
「……言っとくけど本当に紛らわしいと思っただけだからね」
桜さんは依然ニヤついてる二人へ向けてそう言った。
「ならそういう事でいいわよね、重さん」
「そォだなァ支部長」
そこには、大人びた高校生をまるで小学生みたいな弄り方をして楽しむ二人の大人がいた。
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