第1話 魔を滅する者

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「アナタ死にたいの?」 近寄って来た女の子はそう言った。 女の子の拳銃はいつの間にか消えていた。 「死にたくないけど?」 女の子の綺麗で長い黒髪は風で後ろになびいていた。 「ならアナタはさっきの小鬼≪ゴブリン≫に何をしようとしていたの?」 さっきの鬼面は小鬼≪ゴブリン≫と言うようだ。 「殴って消そうとしたんだけど?」 彼女の大きな瞳がより大きくなった。 そんな気がした。 「アナタはバカなのね……」 ハァと溜め息が聞こえた。 「なにが?」 ぼくはいつもの様に怪物を消そうとしただけだった。 「“普通”ああいうのが見えたら逃げるでしょう」 小さな子を相手にする大人の様に彼女は言った。 ぼくはそれが理解できなかった。 「いや“普通”ああいうのが見えたら殴って消すけど?」 それは、戦争を知っているか否か、日本人かアメリカ人か、富豪か貧乏か、といったような価値観の離れた者同士の会話だった。 「消せる訳無いでしょう」 それは馬鹿に馬鹿みたいと言うようだった。 というか馬鹿にされてる気がする。
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