第1話 魔を滅する者

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「えっと……何で車?」 それは呟いた様に聞こえたかもしれないが、ぼくは水島さんに聞いたつもりだ。 「そりゃ支部まで遠いからだろうが」 何故か運転してる丸刈りの人が答えた。 そして顔をこちらに向けてきた。 「俺は達磨 重弥(タツマ シゲヤ)だ。そいつと同じ所属だ」 左手をハンドルから離し水島さんを指し言った。 「達磨さん!前、前!」 水島さんは先程から一転してそのクールな感じがなくなり慌てて言った。 見れば前方に壁が立ちふさがっていた。 「はぁぁ前だァ?……ッ!」 達磨さんも気付いた様でハンドルを一気に回しつつブレーキを踏んだ。 「どりゃぁぁ!」 「キャッ!」 「うおっ!」 三者三様の叫び声が車に響いた。 ギリギリの所で壁に対して横に駐車するように止まった。 ブレーキ痕が後ろの方に濃く残っていた。 「あっぶねぇ~」 「心臓止まるかと思った……」 達磨さんは額の汗を腕で拭った。 ぼくは心臓があるか確かめた。 そして水島さんは―― 「達磨さんッッ!」 ――達磨さんに説教を始めた
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