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「えっと……何で車?」
それは呟いた様に聞こえたかもしれないが、ぼくは水島さんに聞いたつもりだ。
「そりゃ支部まで遠いからだろうが」
何故か運転してる丸刈りの人が答えた。
そして顔をこちらに向けてきた。
「俺は達磨 重弥(タツマ シゲヤ)だ。そいつと同じ所属だ」
左手をハンドルから離し水島さんを指し言った。
「達磨さん!前、前!」
水島さんは先程から一転してそのクールな感じがなくなり慌てて言った。
見れば前方に壁が立ちふさがっていた。
「はぁぁ前だァ?……ッ!」
達磨さんも気付いた様でハンドルを一気に回しつつブレーキを踏んだ。
「どりゃぁぁ!」
「キャッ!」
「うおっ!」
三者三様の叫び声が車に響いた。
ギリギリの所で壁に対して横に駐車するように止まった。
ブレーキ痕が後ろの方に濃く残っていた。
「あっぶねぇ~」
「心臓止まるかと思った……」
達磨さんは額の汗を腕で拭った。
ぼくは心臓があるか確かめた。
そして水島さんは――
「達磨さんッッ!」
――達磨さんに説教を始めた
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