勇気を出して

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純平はよく忘れ物をする こうして借りに来たのは一度や二度じゃない 初めて貸してと言われたのは国語の教科書 たまたまその日持っていた事もあって私は何の気無しに貸した 教科書はすぐに返ってきて国語の授業中返ってきた教科書を開いた私は思わず吹き出した 知らない間にされていた落書き著者の顔写真に書かれたあるはずのないひげ 長く伸ばされた髪 あの時まわりの人には不審そうな顔をされて先生にはこっぴどく怒られたっけ それから返ってくるたび教科書にはいつもどこかしらに落書きがされてあった 写真の横に吹き出しがありそこに意味の分からないセリフが書かれてあったり相当暇だったのか○×ゲームをしていたり余白に明らかに悪意が込められた私の似顔絵が描かれていたこともあった
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