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鼻を突く排泄物と鉄の臭い…
「うぅ…」
思わず嗚咽を漏らしてしまう。
そして…
かつて、肉野江部屋が誇る猛者と言われた男の
………塊。
目玉は抉られ腕と足はもぎ取られ、それらは引き裂かれた腹に器用に突き刺さしてあった。
引き千切られた血管からは、ブチュブチュと粘着質な音を立て血液が溢れている。
まるで生け花のようにデコレートしてあることから、猟奇殺人だと一目でわかった。
魔之王と会話をし、喝破山が稽古場から飛び出して行ってから女将さんの叫び声が響くまでたったの40秒。
人間業ではない。
「何だ?どうした?……うっ、こりゃ酷い。これは喝破山か?とりあえず警察に電話しろ。」
騒ぎを聞きつけた肉野江親方が、喝破山の惨劇を目の当たりにしつつも冷静に対処する。
「魔之王、警察が来るまで誰もここへは入れるな!お前ら何があったのか話を聞こうか。」
魔之王がコクリと頷くと、肉野江親方は付き人達と女将さんを連れてその場から去った。
ヤジ馬たちを追い払い、喝破山の部屋が見えるように廊下に腰を下ろす。
「ふぅ…」
喝破山の裂かれた腹から出ている手の平に置かれた目玉が、物悲しそうにこちらを見ていた。
…?
喝破山と思われる肉塊の横…
黒い紙切れが落ちていることに魔之王は気が付いた。
「何だ…アレは。」
警察の検証の為、現場を弄ってはいけない。
頭で分かってはいるが、興味には勝てなかった…
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