デフレーション

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魔之王が暫く一人でソファーで酔いを冷ましていると“スナック斉藤”のママがやってきた。  「ねぇ、魔之王ちゃん…… あの子達が是非、魔之王ちゃんとお話しをしたいって言ってるの 少しお話しして上げてくれない? 」 ママが指差す方を見ると先程の、小柄な女の子と黒人女性が立ち上がりこちらを見ていた。  魔之王の目が、また黒人女性の濡れた瞳と絡み合う。  脳が焼かれた様な、不思議な感触が再び閏ノ藤の全身を駆け抜ける。四股を踏んで誤魔化した  「ママ、俺への突っ張りは御法度だぜ。ぼやぼやしてると来場所になっちまうぜ」  魔之王の小粋なスモウジョークがやっと黒人女性から、目を離し言う。  「ごっちゃんです!」  明るい声を上げて早速ママが、二人を呼びに行く。  「魔之王さんですよね! いつもテレビで見てます! 」  小柄な女性が魔之王の前に移動しながら言った。  「私…… 六条て言います! 」  六条と名乗った女性が、魔之王の前のイスに座る。  黒人女性も六条の横に素早く座った。  「ロンバンハ! 」  慣れない日本語でそう言って黒人女性が頭を下げる。  黒人特有のリズム感に溢れた動きには、何か目を惹きつける物があった。  「こっちは私の通っている大学に留学しに来てるムハマド・ラエルです 」  六条が、そう紹介すると同時にラエルが笑う。  魔之王の胸は押さえようのない程、高まっていた。
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