第二話 あな美しや、恋愛小説 後編

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ζ(゚、゚;ζ(こんな、急に……) ――唯一デレだけがこの状況に疑問を感じているのは、「本」の存在を知っていたからだろうか。 何も知らずにいれば、デレも、無関心になっていたかもしれなかった。 ζ(゚、゚;ζ「ちょっと!」 ともかく彼女達を止めようとデレが口を開く。 しかし、デレの声は、同時に鳴った始業のチャイムに掻き消された。 幸い、それが制止の役目を果たしてくれたようで、キュートから「元」友人達が離れていく。 当のキュートは髪型を整えながら席に着いた。 ぐすりと鼻を啜る音が、辛うじてデレの耳に届いた。 ――休み時間になる度、キュートは教室を飛び出した。 また暴力を振るわれるのが嫌だったのだろう。 デレが追いかけるが、向こうも足が速い。 すぐに見失ってしまう。
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