序章

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『……ねぇ、お兄ちゃん。あれはなあに?』 『ん? あれって?』 『お星さま! お星さまがスーッとたくさん、ながれていってるの。ねぇ、どうして?』 幼い少女の疑問に少年はああ、と頷きを返すと簡単に流れ星の説明をした。少女は頷きを返しながら夜空を見つめ続ける。どうやら流れ星が気に入ったようだ。 そんな少女に少年は笑みを浮かべると、ある事を少女に教える。 『流れ星が流れ落ちる前に三回願い事を言えたら、願いが叶うんだってさ』 『そうなの? すごいすごいっ!! じゃあ、あたしもおねがいしてみるっ!!』 少女は繋いでいた兄である少年の手を離すと、手を合わせ夜空に流れ落ちる星へ願いを託す。 眉間に皺を寄せ、必死に願う少女の姿に少年は思わず笑みを溢した。 『そんなに必死に願い過ぎると、神様が拒否するかもしれないぞ』 『っ、神さまはそんないじわるしないもんっ! ちゃんとかなえてくださるもん!!』 願いを夜空の星に託して満足したのか、少女は暫くすると少年の元に戻ってきた。
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