1 参加権

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説明会の日はあっという間にやって来た。 受付は昼過ぎからだというので、午前中に家を出る。母親にはえりんと買い物に行くと言った。二人で出かけるのは随分久しぶりなせいか、母親にはやたらにやにや送り出された。ちくしょう。 家の前ですぐに合流。 「持ってきたか?」 「うん」 肩に提げた鞄を揺らす。 その中にはあの赤い封筒が入っているはずだ。当日必要な持ち物としてそれひとつだけが記載されていた。 最寄りの駅まで歩いて十分、電車に揺られて三十分、降車。 駅前のファストフード店で簡単に昼食を済ませてしまえば、あとは目的地に向かうだけ。 初めて訪れたにも関わらず妙な既視感のある文化会館。オレたちの地元にあるものよりも少しだけ大きい気もする。 入口に掛けられたホワイトボードが、今日の各部屋の使用表になっている。 「NGゲーム説明会」は二階の第二会議室。こうやって表記されているのを見ると、どことなく素朴な印象を抱く。紛れもなく錯覚だけど。 問題の部屋は、春のうららかな陽気の差しこむ廊下の傍らで、平然と白い扉を開け放っていた。 「受付時間」などと書いてあったわりには 室内には既に十人ほどの人間がいた。行儀よく並べられた席についている。 入室した途端無言の注目が集中する。 振り込め詐欺のニュースなどの影響か、こういうものに食い付く人間は中年以上の歳の人というイメージがあったが、老若男女、随分バリエーション豊かな面子が揃っている。高校生のオレたちに言えたことでもないけど。 しかし小学生ほどの男の子が混じっているのにはさすがに驚いた。 見たところ、連れ立ってやって来たのはオレたち二人だけのようだ。 とてもじゃないがお喋りできるような雰囲気ではないので、オレたちも大人しく空いた席に座る。 落ち着かない緊張感の中で待つことしばし。オレたちの後に二人の客を迎えて、時計はついに時間を示した。
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