序章 遅刻

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東京都新宿区 サクラの家 「あわわわ、遅刻するーっ!!」  私は財布だけポケットに入れて、家を飛び出す。 「うわっ!!」  何もない所で転けそうになり、声をあげた。 「はー危なかった…」  案外、人が少なくホッとする。  暑い日差が突き刺さる。  出来るだけ影がある道を走る。  今向かっているのは、私が入っている組織、『リリア組織』の本部。  私はそこで働いているのだ。  高校に通っていれば、二年生だ。  汗をかきながら、ひたすら走る。  怒られちゃうよー!!  やっと、ビルが見えてきた。急いで中に入り、息を整える。  外とは温度差があり、すごく涼しい。  顔を上げると、見慣れた景色が広がっている。  このビルは一階~十一階まである。  今、いるところは受付みたいな場所。  指紋確認をしなければ、エレベーターにも乗れない。敵が入ってこれないようにするための場所だ。  依頼なども、全てここに送られる。
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