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あれ? これ、死ぬんじゃね?
「うわあぁぁぁぁ!」
僕は奇声を発し、必死で前方へと体を飛ばす。
きっとその姿はホームベースに滑り込む高校球児のようだったに違いない。
しかし、こっちは命懸けのスライディングなのだ。
スピードはともかく、気迫だけは僕の勝ちだろう。
チッ。
靴が列車にかすった。
僕は間一髪、体がバラバラになるという大惨事を免れたのだ。
だが、アスファルトの地面にダイブしたお陰で、服も体もあちこち汚れて擦りむいてしまったようだ。
ヒリヒリとした痛みがそう教えてくれている。
てか、今、僕は殺されかけたよな?
自分が生きている事を確認した僕は、踏み切りの向こうにいる闇猫を見遣った。
「ち」
え? 舌打ちした?
闇猫は周りで大騒ぎしている人達の中、平然とした表情でこちらを見ていた。
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