「ラブホテルに入ったら」

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「あら、どうして? 自分で死のうが殺されようが、結果は死ぬんだから同じじゃない?」  心底驚いたような顔してる。ざっくりしてるなぁ、この子。 「全然違うよ。自殺は自分で時と場所を選んで納得して死ねるけど、殺される場合、それが出来ないじゃないか。現に僕は、電車に轢かれるなんてグロい死に方はしたくないと思ってるし」 「そっか。そうね。でも私、一度人を殺してみたかったし、グロいのも好きなの。ちょうどいいと思ってあなたを突き飛ばしてみたのだけれど、それは私の我儘だったという事ね。悪いことをしたわ。ごめんなさい、クロスケさん」  ……なんかズレた子だな。 「いや、分かってくれればいいんだ」  僕は胸の前に両手を広げ、闇猫の謝罪を受け入れた。  うん。我ながら心が広い。  どうせ死ぬんだし、大概の事は許せそうだ。
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