「ラブホテルに入ったら」

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 ふと、僕は一つの懸念を持った。 「闇猫さん、ちょい待ち」  少し歩速を速めた僕は、闇猫の前に回りこみ、彼女の表情を観察する。  う。かわいい。けど。 「何?」 「――ダメだ。そんな顔して、そんな物レジに持っていったら、警察に通報されるかも知れないよ」  眉間に皺を寄せ、決意に満ちた闇猫の顔は「これから自殺します」と誰が見ても分かるだろう。  大体、高校生が買うような物ではないのだから。 「見た目通り細かい事に気がつく人ね。分かったわ。では、こうしましょう」 「え?」  見た目通り?  僕、そんなに神経質そうに見えるんだろうか?  とりあえず褒められた気はしないな。いや、絶対褒めてないよね。  そんな細かい事に気を取られていた直後、僕は彼女への可憐なイメージを崩壊させることとなる。
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