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「ずっとこのままってことはねーから大丈夫だよ。」
起き上がって新谷は香緒里と目を合わせて微笑んだ。
そうよね、と香緒里も呟き少し頬を緩めた。
「そろそろ昼休み終わるし、先教室行ってるぞ。」
香緒里の頭を軽く叩くと新谷は立ち上がって屋上を出て行く。
新谷は寂しくないのだろうか。クラスでも部活でも一線引かれていて。でもそう聞いたら彼はきっと一言、『慣れてるから。』と言うだろう。
強いな、新谷は。私なんて……。
脳裏に家族の顔が浮かぶ。冷たい視線、無関心な態度。暖かみのない言動……
余計に気が滅入ってきたので香緒里は頭を軽く振り、それらを角に追いやった。
今は、前を向くしかない。耐えるしかない。頑張っていれば……きっと……
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