5.リンチ

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「あ~、翔太、それこっちの公式使った方が簡単だぞ?」 「あ、確かに。じゃあ…こうか。」 あの美術の時間以来、香緒里は新谷、雪音、石川といることが多くなった。沙世達からの嫌がらせは相変わらずだが、一緒にいてくれる人達がいることで随分と気持ちが楽になった。 今日の昼休みも四人で屋上に来ていて、石川は四時間目の数学でわからなかった所を新谷に聞いている。 「よし、正解!」 「あ~やっとすっきりした。やっぱり秀人の説明わかりやすいな。」 「伊達に学年一位取ってないね。先生よりわかりやすいかも。」 「ね。ってか二人いつの間にか名前呼びするようになったわね。」 雪音は新谷と石川を見比べて言う。つい数日前まではお互いに名字で呼び合っていた気がする。 「ま、最近からな。」 「でも、良かったわね。友達出来て。」 香緒里が新谷にそう言うと、『そうだな。』と笑った後、『でも』と香緒里の方を見て続ける。 「第一号はお前。」 「私?」自分を指して言う。「まぁ…そうかもしれないけど…男女で友情って成り立つの?」 雪音は首を傾けた香緒里を見て苦笑した。 「成り立つって。香緒里、考え方古いわよ?それ。」 「え~…?」 他愛のない話をしながら四人で一緒にいる時間が一番楽だ。教室や家にいるより、ずっと。無理なく付き合えて、何より信頼出来る気がした。 友達って…本当はこういう物だったのだろうか? 放課後の部活が終わった後、香緒里は雪音と落ち合った。 「お疲れ様。」 「香緒里こそ。いい絵描けた?」 「それなりに。」 香緒里は美術部に、雪音は女子バスケ部に所属している。美術部は部活の日は少ないが、部活のある日はこうして雪音と一緒に帰ることが多くなった。 二人が下駄箱で靴を履こうとしていると、前から沙世やその他の取り巻きの女子がやって来た。その中には棗、静、朱理もいる。 「香緒里、ちょっと話があるんだけど。」 沙世はそう言って見据える。 「ここじゃダメなの?」 「ダメよ。」 香緒里は少し息をつき、雪音を見た。 「先帰ってていいよ。」 「え、でも…私も行くよ。」 「雪音は来なくていい。私達は香緒里に用があるんだから。」 そう言うと沙世は背を向け歩き出す。着いて来いということなのだろう。 心配そうな顔をしている雪音に香緒里は少し微笑んで、『大丈夫だから。』と囁いた。 「それで、話って何?」 人気のない学校近くの公園に連れて来られた香
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