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緒里は沙世と向かい合った。
「最近、調子乗りすぎてんじゃないの?自分の立場わかってるの?」
沙世はそう言って睨んできた。
「だいたいさ~香緒里って超いい子ぶりっこだよね。」
「自分が全部正しいなんて思っちゃってるっていうか~。」
それが、ついこの間まで親友だと言っていた私に言う言葉?
棗達がせせら笑って言った言葉に香緒里は思う。関わりたくないとか言ってたくせに、手のひらを返したようにこの態度。悲しみや怒りを通り越して呆れてきた。
「結局、あんた達の友情なんて、そんなもんなんだね。自分を守ることにしか必死になれない。雪音の方がよっぽど人間出来てるよ。」
沙世達は顔を赤く染めた。
「あんたのそういうとこが腹が立つのよ!」
拳が顔に飛んでくる。香緒里はそれを体を少しずらしてかわした。
次に別の取り巻きの子が、その後も別の子が次々に攻撃を仕掛けてくる。最初は軽々避けていた香緒里は数が増えることにより、避けきれなくなった。誰かの蹴りが足に当たり、よろける。そこにさらに腹部に拳が入り、誰かが香緒里を押した。バランスを崩した香緒里は花壇の方に倒れた。
鈍い痛みを頭に感じ、同時に温かい物が額を伝うのを感じた。
「ょっ…さすがにまずいんじゃない?」
起き上がった香緒里をみて静が言った。
沙世の顔が少し強張ったのがわかった。
「これに懲りたら大人しくしとくことね!」
そう捨て台詞を言うと沙世は走って公園を出た。取り巻き達も慌ててその後について行った。
香緒里はそのまま花壇に腰をかけた。手の甲で額を拭うと赤い物が手にべったりとついた。
「あ~…これは、確かにまずいかも。」
ズキズキと痛む傷口に鞄から取り出したハンカチをあてる。足も転んだ拍子に擦ったのか膝から血が滴っている。
家に帰るべきか。でも家に帰っても手当てするのは結局自分なので、不器用な香緒里に上手く出来る保証はない。
どうしようかと思っていると複数の足音が公園に入ってくるのが聞こえた。
「香緒里!大丈夫?」
雪音が新谷と石川と共に近寄って来た。
「大丈夫かよ!?」
香緒里の傷を見て新谷は心配そうな表情で言った。雪音と石川も不安げな様子で傍に座った。
「やっぱり私もついて行った方が良かったかな…。」
「三人とも、どうしてここに…?」
「今は事情を話すより、怪我の手当て優先だろ?」
そう言うと新谷は香緒里に背を向けてしゃがんだ。
「ほら、乗れよ。」
「え?いや、で
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