5.リンチ

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も…」 香緒里が渋っていると少々呆れた顔が向けられた。 「あのなぁ、頭から血を流してる奴を歩かせるわけにはいかねーだろ。おとなしく乗れって。」 「俺もそうした方がいいと思う。額の傷は例え浅くても、血が結構出るから…。俺の家がここから一番近いから、急いで行こう。」 石川が立ち上がり、雪音もそれに続いた。仕方なく、香緒里は新谷の背中に乗った。 「……重いからね。」 「別に平気だって。んじゃ、さっさと翔太んち行くぞ!」 石川の家は公園から数分歩いたところにあった。どこにでもありそうな一軒家だが、庭が整っていて花がたくさん植えられているのが少し薄暗くなった今もわかる。 「今、家に誰もいないから、遠慮しないで入って。」 石川はそう言って香緒里達を家に招き入れた。 新谷の背中から降りた香緒里は石川についてリビングに入り、そこのソファに腰をかけた。 「待ってて。今救急箱持ってくるから。」 香緒里から離れた石川と入れ違いに雪音と新谷が傍に座った。 「血、まだ出てる?」 ハンカチで押さえられた傷口を見て雪音は聞く。そのハンカチを外すと先程よりはましになったものの、傷口には血が滲んでいる。 「切れたんじゃなくて、ぶつて血が出たと思うよ。だから見た目ほどはひどくはない。」 石川が救急箱を持って戻ってきた。箱をあけ、中から消毒液と脱脂綿を出して傷口を消毒していく。 「ちょっとしみるかもしれないけど…」 手際よく消毒した後、ガーゼを張った。その後に膝の傷も手当てをする。 「それと、吉崎さん。足、捻った?」 「え?あ、確かに捻ったかも…ちょっと痛いし。」 「じゃあ、靴下脱いでもらえる?湿布貼っちゃうから。」 わかった、と香緒里が言い、靴下を脱ぐと石川はテキパキと湿布を貼り包帯を巻いていく。 「翔太、随分手慣れてるな。」 「あぁ、うちの父さんが医者で、母さんが養護教員でさ、小さい頃からこういうの教えられてきたんだ。」 「えっ石川の家って医者なの?」 「うん、小さな町医者だけどね。はい、出来たよ。」 石川は顔を上げ、にこりと微笑んだ。つられて香緒里も微笑む。 「ありがとう。」 「もし、傷口じゃなくて頭が痛くなったら、病院に行ったほうがいいよ。何か脳の方にあるかもしれないから。」 香緒里は頷いた後、雪音と新谷を見る。 「二人も、ありがとう。」 「ううん。ただ、心配で探しに来ただけだから。」 「にしても、よってたかってリンチっての
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