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時はさかのぼる事約十時間前、俺は一人で神社の掃除をしていた。太陽の光が茶色い前髪を通り抜けてダイレクトに目に入り、眩しいなとか思いながら、落ち葉を掃いている。
秋だというのに日差しが暖かく、部屋着の着物を着ているためか体が熱い。
今日はよく晴れていて、雲一つ無い青空だ。昨日が生憎の雨だったおかげで、今日の分の洗濯物が多くて、干すのに苦労した。
それに神社に舞い散る落ち葉は、無限にあり、それを全て掃除するなど不可能である。
だが、そんな事をぐだぐだ言っていても誰かが仕事を変わってくれる訳ではない。こんな雑用が日課で、既に慣れてしまった部分もあり、俺は心の中の弱い自分と戦いながら文句を言わず、ひたすら仕事をする。
弱音を吐くことは許されない。それが、『神崎蓮(かんざき れん)』 俺の仕事であり、使命だから……
なんて、少し格好を付けてみたが、所詮はただの強がりで、誰がなんと言おうと怠いのは怠い。
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