145人が本棚に入れています
本棚に追加
しばらく戦って、だいぶヒトが減ってきた。
群れの中心で戦うのは光鋭早苗。
見えざる腕の無限の攻撃。
そして天白翠は、拳銃を撃ちながら蹴りを繰り出す。
それは一種の銃弾、ヒトの体の一部を抉る。
「ハハハッ!!」
楽しそうに笑うが、目の前にいたはずのヒトが消えた。
「…なぁんだ、つまんない」
顔に付着した血を、袖で拭う。
辺りは血、骨、内臓。
その中で可愛げに笑う翠。
その姿は正に狂気。
そんな時に、そこに翼が舞う。
漆黒の翼が落ちた。
「終わりましたね」
窓から、翼を羽ばたかせてミールが入って来た。
「早苗さまがいましたか…そういえば、コレ」
ミールの持つのは一つの杯。
その中にはコイン。杯の中には血。
「おそらく召還か儀式か…」
なるほど、と頷く翠。
ふと、早苗の傍までよって、手を取る。
驚いたような表情を見せる早苗。
「今日の晩御飯はすき焼きだよ」
「え?」
疑問を生むのは当然。
何を言っているかわからない。
「とりあえず、今日からウチで良いよ」
天白翠は笑う。
一礼して、早苗も少し戸惑いながら笑顔を見せた。
「あ、ありがとうございます」
ぎこちなく一礼してみせる早苗。
そうして、天白翠も鍵を自分の手に掴んだ。
最初のコメントを投稿しよう!