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その後、アリシアに借りたワイシャツと短パンで、ベランダにいる。
ここはマンションの十二階。
窓から見る景色は、そこらの家を凌駕する大きさ。
「最上階ですから、結構な眺めでしょう?」
雷が景色を見ていると、隣にアリシアが立つ。
自分の服を着ている雷を見て複雑な顔をする。
「…んだよぉ」
ジト目でアリシアを睨む。
「いえ、ブカブカなんですね」
「ちっ、テメェの身長(タッパ)が無駄にでけぇんだよ…」
アリシアと雷、並ぶと身長差がわかる。
雷が162cmアリシアは169くらいはあるだろう。
「それにしても、可愛いですよね」
「ぶっ殺す」
そう言って腰の後ろに手を回すが、銃が無い。
溜息一つ。
ベランダから居間に行く雷。
「あっ、待ってくださいよ」
「うるせぇ、死にやがれ馬鹿たれ」
居間に入って、座布団に座る。
ようやく、帰ってきた実感というのが湧いてきた。
「ふぅ…帰るのはメンドイなぁ」
「じゃぁ、ここに居ても良いですよ」
バッとアリシアの方を見る雷。
笑顔を見せるアリシア。
「どうです、やりたいことが見つかるまで、一緒に」
「そうだなぁ、そうするかぁ」
満面の笑みを見せる雷。
右目は赤く左目は黒く、長い黒髪は、いまだボサボサで風呂に入ろうと思った。
「やっぱり可愛いですね」
「テメェはやっぱりぶっ殺す、俺の銃どこやったぁ!」
怒鳴り声。
アリシアが謝る声。
賑やかな家は当分そんな感じだろう。
だが、確実にプロローグは開始した。
天白雷は、鍵を自分の手に掴んだ。
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