ヘル・バック~雷~

4/4
前へ
/163ページ
次へ
その後、アリシアに借りたワイシャツと短パンで、ベランダにいる。 ここはマンションの十二階。 窓から見る景色は、そこらの家を凌駕する大きさ。 「最上階ですから、結構な眺めでしょう?」 雷が景色を見ていると、隣にアリシアが立つ。 自分の服を着ている雷を見て複雑な顔をする。 「…んだよぉ」 ジト目でアリシアを睨む。 「いえ、ブカブカなんですね」 「ちっ、テメェの身長(タッパ)が無駄にでけぇんだよ…」 アリシアと雷、並ぶと身長差がわかる。 雷が162cmアリシアは169くらいはあるだろう。 「それにしても、可愛いですよね」 「ぶっ殺す」 そう言って腰の後ろに手を回すが、銃が無い。 溜息一つ。 ベランダから居間に行く雷。 「あっ、待ってくださいよ」 「うるせぇ、死にやがれ馬鹿たれ」 居間に入って、座布団に座る。 ようやく、帰ってきた実感というのが湧いてきた。 「ふぅ…帰るのはメンドイなぁ」 「じゃぁ、ここに居ても良いですよ」 バッとアリシアの方を見る雷。 笑顔を見せるアリシア。 「どうです、やりたいことが見つかるまで、一緒に」 「そうだなぁ、そうするかぁ」 満面の笑みを見せる雷。 右目は赤く左目は黒く、長い黒髪は、いまだボサボサで風呂に入ろうと思った。 「やっぱり可愛いですね」 「テメェはやっぱりぶっ殺す、俺の銃どこやったぁ!」 怒鳴り声。 アリシアが謝る声。 賑やかな家は当分そんな感じだろう。 だが、確実にプロローグは開始した。 天白雷は、鍵を自分の手に掴んだ。
/163ページ

最初のコメントを投稿しよう!

145人が本棚に入れています
本棚に追加