ヘル・バック~翠~

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とある廃ビル。 そこの5階でのみ、異常は起こっている。 床のコンクリートに広がるのは血液。 それは一人の少女が作り出していた。 少女のまわりには無数の人間。 しかし、いたるところが欠損している。 絶対に体の一部が無い。 それは首だったり腕だったり足だったり。 その状態にも関わらず、少女に襲い掛かるヒト。 「くっ、ぁぁぁぁっ!」 少女が叫ぶ。 にじり寄るヒトは全て少女に手を届かせられず消える。 「アヴァロン!」 それは見えざる腕。 全てのヒトは血を噴出して倒れる。 少女だけがそこに立つ。 しかし、その欠損したヒトは、止まらずあふれ出してくる。 「一人の少女を取り囲んで暴行をくわえる…一人では何も出来ない愚かな者達、食うことしか頭になく、人間としての感情が欠落している…人ソレを、不完全と言う」 欠損したヒトは、全て声のする方向を見る。 それは少女も例外では無い。 「貴様に名乗る名は無い、とぅ!」 そこに居たのは、天白翠。 ビルの窓枠に腰掛けていたが、瞬時に飛び上がった。 天井スレスレで跳んで、少女の目の前に着地する。 「こんなところで何やってるんだかねぇ…早苗ちゃん♪」 少女の名前は光鋭早苗。 虹色の髪。 凹凸のついた半端ねぇボディ。 「翠、さん」 「さて、とりあえず…手伝ってあげる」 早苗の方をむいたまま、後ろに銃を撃つ。 背後から襲おうとしたヒトは撃たれた。 「さて、返事はどうあれ……私たちは好きにやらせてもらうよ」 銃を構える。 二挺のコルト・ガバメント。 兄と同じ戦闘スタイルを意識しながら、彼女の双銃はその牙を向こうとする。 「さぁて、覚悟は良いよね?」 呆然とする早苗を他所に、不敵に笑う翠がいた。
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