七章 不審な事件

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時は少しさかのぼる。 謁見が終盤にさしかかった頃、 「陛下――!」と兵の一人が殿内に飛び込んだ。 その場がざわつく。 「なんだ騒々しい」 兵は息を切らしながら答えた。 「お、おそれながら申し上げます!ただいま官吏から連絡がありました。――皇妃様の御母上と姉上が亡くなったとのことです」 「何‼なんだと!」 帝が玉座からバッと立ち上がった。大臣達のざわつきがさらに大きくなった。 「それはなぜだ!」 「は、報告によりますと、何者かに毒殺されたとのこと」 驚くもない間に次は女の甲高い声が「陛下――!」と響いた。 それは胡蝶付きの女官長・鈴鈴のものだった。 「申し上げます!皇妃様と瑛姫公主様が、何者かによって届けられたお水を飲んでお倒れに…!」
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