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時は少しさかのぼる。
謁見が終盤にさしかかった頃、
「陛下――!」と兵の一人が殿内に飛び込んだ。
その場がざわつく。
「なんだ騒々しい」
兵は息を切らしながら答えた。
「お、おそれながら申し上げます!ただいま官吏から連絡がありました。――皇妃様の御母上と姉上が亡くなったとのことです」
「何‼なんだと!」
帝が玉座からバッと立ち上がった。大臣達のざわつきがさらに大きくなった。
「それはなぜだ!」
「は、報告によりますと、何者かに毒殺されたとのこと」
驚くもない間に次は女の甲高い声が「陛下――!」と響いた。
それは胡蝶付きの女官長・鈴鈴のものだった。
「申し上げます!皇妃様と瑛姫公主様が、何者かによって届けられたお水を飲んでお倒れに…!」
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