七章 不審な事件

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それから一ヶ月間の間、胡蝶の体調はどんどんとよくなっていった。 「瑛姫、おいで」 床に降ろした娘を、少し離れた場所で胡蝶が呼ぶ。 瑛姫は立とうと必死だったが、しかしすぐにまたしりもちをついた。 「ほら、がんばって!」 涙ひとつみせずに娘が必死に立ち上がろうとする。 しかしまたすぐ座り込むとハイハイで母のところまで来た。 「よくできました。えらいえらい」 その後ろで鈴鈴も褒め称える。 「普通の子供は二歳ほどでやっと立ち上がるのに、まだまだ一歳で立ち上がろうとするなんて、本当に天才でございます」
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