七章 不審な事件

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執務室に入ると、帝が膨大な量の書類を机に山積みにして、その真ん中にわずかに開いている隙間に頭を伏せ眠っていた。 「疲れたのね…、ご苦労様」 劉蓮の頬にそっと口付けをすると、机の上の書類を見た。 印が押してあるのは目を通した物。 押していないのがまだ見ていないもの。そして机の下に散乱しているのはおさらく却下された議案だろう。 劉蓮の安らかな寝顔を見ると、起こす気はしない。 胡蝶は書類に目を通した。 ・貧しい家の子などへの勉学所の設置  (いい案ね。貧しい家の子でも勉強さえすれば将来、大臣にだってなれる可能性があるわ) ・塁国との平和条約の解消。兵の出兵の場合について  (何考えてるのよ、この案を出した人は!塁国と手を切れば確かに塁国へ兵を進められるけど、それは戦争じゃない!我が国と塁国は友好国なのよ。いまのままでも平和だし十分じゃない) すぐにその案を床に捨てた。
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