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「瑛は妻の姓です。確かに私の本名は黄早雲と申します。当の本人達は知りませんが、胡蝶と結蓮は従姉妹にあたります」
朗は黙り込む。
「――なぜ…胡蝶がそちの娘ならばなぜ危険に合わせようとした?心が痛まなかったのか」
「陛下、もし私が毒を盛らなければ黄貴妃は真っ直ぐに私を疑ったでしょう。それならば、証拠を手には出来ませんでした」
宗來はスッと二つの文を差し出した。
「これは、黄貴妃が私宛に計画の内容を書いた文です。そしてこれが、資格を捕らえて手に入れた広葉…いえ、胡蝶の母と姉を殺すようにと刺客にあてた文です。最後には確かに黄貴妃の印が押してあります。確かな証拠にはなるでしょう」
「そなたはこれを手に入れるためにずっと黄貴妃のいいなりに動いていたのか」
朗がう~むと関心げに腕を組む。
「確かに証拠にはなる。が、この事件は隠すには事が大きすぎる。そなたのことも裏目に出るだろう。その時にお前はどうやって胡蝶に向き合う?」
だてに太子時代から付き合っている帝のことだ。
彼は試しているのだ。
それに気づきながらも男はこう言った。
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