八章 二つの盃

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「何もしません。ただの犯罪者として向かい合うつもりです。証拠を手に入れるためとはいえ、事実上皇妃と公主に毒を盛ったのですから」 帝と朗は押し黙った。 この男は死を求めているだろう、そのするどい眼差しがそう訴えていた。 「――では私は秘部署に戻ります。お呼びをお待ちしております」 男は部屋をサッと出た。 この男に次のお呼びがかかるのは恐らく最後となるだろう。 そしてそれは、この男が死を迎える時でもあるだろう。
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