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夜の宮殿内、まだ明かりの灯っている部屋から二人の老人の声がヒソヒソと聞こえる。
「どうしたものか」
朗宰相が頭をかかえた。
「竜輝太子か劉蓮太子か。うむ難しい、難しいぞい」
「だからお前は白髪が増えるんだ」
じろりと宰相をにらんだ采大臣はキッパリと言った。
「やはり第一太子の竜輝様だ」
「ええい、産まれた時間がちいとばかし、早かったから第一太子じゃったんじゃ。やはり劉蓮太子じゃ。優しく秀才で勉強家じゃ」
「竜輝様とて頭が良い。意見もハッキリしておられる。それに王家ならば強いこと。武術なら誰にも負けたことのない竜輝様だ。どう考えても竜輝様じゃ」
朗宰相が目を吊り上げた。
「ははーん、さてはお前、もっと上の地位がほしいから竜輝太子を押すのだな。なにせ竜輝太子はお前の親戚の娘、今は亡き宗貴妃が産んだ太子じゃからのう」
眉間にしわを寄せた采大臣は言い返す。
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