序章

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「そういうお前こそ、劉蓮太子を押す理由は、娘が産んだ太子だからだろう!それでお前は今の地位にいるのだからな」 「十年来の友人に向って、なんという失礼なことを言うのじゃ」 「一番失礼なのはお前だ、朗」 長い沈黙のにらみ合いの後、朗宰相がひらめいたように手を打った。 「では賭けをしてみようではないか」 「賭けだと?」 「そうじゃ、名づけて『世継ぎが出来たほうの勝ち~!』大作戦」 「あぁ?」 采大臣の顔が引きつった。 「劉蓮太子ももう、妻を娶られてもいい年頃。世継ぎができればそれだけ玉座に着く条件の者としてふさわしい。そうじゃろう」 采大臣は両手で、ほんの少しだけ右にずれた大臣帽を真正面に正し、「ふむ」と呟いた。 「確かに、それならいずれ出てくる世継ぎ問題はなくなるな」 手をあごにあて天井を眺めると、朗宰相が立ち上がった。
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