掟 破 り

3/47
前へ
/196ページ
次へ
「あぁ……仲間の血が欲しい…」 黒い影は食べ散らかした残骸をよそに、その場にドカッと座り込み、真っ暗な空を仰いだ。 その表情は穏やかで、満腹の余韻に浸っているようだった。 「でも……1番欲しいのは……」 そう言いながら傷だらけの右腕を、月夜に伸ばす。 「ゆき…君が欲しくて、タマラナイ」 手の平を広げて、それを掴むかのようにギュッと握り締めた。 銀色のように美しい満月に。 「ゆき、君は何処に居るのかなぁ…?」 黒い影は、ニヤッと口角を上げると、風のようにその場から姿を消した。
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

62人が本棚に入れています
本棚に追加