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「あぁ……仲間の血が欲しい…」
黒い影は食べ散らかした残骸をよそに、その場にドカッと座り込み、真っ暗な空を仰いだ。
その表情は穏やかで、満腹の余韻に浸っているようだった。
「でも……1番欲しいのは……」
そう言いながら傷だらけの右腕を、月夜に伸ばす。
「ゆき…君が欲しくて、タマラナイ」
手の平を広げて、それを掴むかのようにギュッと握り締めた。
銀色のように美しい満月に。
「ゆき、君は何処に居るのかなぁ…?」
黒い影は、ニヤッと口角を上げると、風のようにその場から姿を消した。
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